内科系 医学 感染症

抗ストレプトリジンO抗体(ASO)をどう評価するか

ポイント

  • 抗ストレプトリジン-O抗体(ASO)は、β溶血性連鎖球菌(溶連菌)のうち、A群,C群,G群が産生する代表的な菌体外産生物質である溶血毒素(streptlysin-o)に対する抗体で,溶連菌感染症で上昇する1
  • 基準値は施設によって異なるが239以下(IU/mL)
  • ASO は感度 80%,抗ストレプトキナーゼ抗体(ASK) を併用すれば感度 90%で溶連菌の感染を検出できる2
  • ASO≧800 単位であれば確定的である
  • リウマチ熱に対してASOは感度 80%.2 種類以上の抗体を用いれば感度 90%
  • ASO は溶連菌感染から 2 週間後ほどして上昇し,数か月して低下してくる

 

そもそも連鎖球菌はどう分類される?

溶血性による分類

レンサ球菌には赤血球を溶かす溶血毒を産生するものがあり,その溶血性の程度によってα,β,γの3種類に分類される.以下図は血液寒天培地上での溶血性のちがいを示している。

  • α(不完全溶血):緑色の溶血環
  • β(完全溶血):透明の溶血環
  • γ(非溶血):溶血環なし

 

溶連菌には、A群、B群、C群、G群などがあるが、症状を引き起こすほとんどの場合はA群である。

 

Lancefield分類

  • 細胞壁の多糖体抗原の違いによりA~V(I,Jを除く)に分類される

 

つまり、以下のように分類される。

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A群β溶連菌は溶血毒素であるストレプトリジンOを産生する。

 

A群β溶連菌感染症の病態

上気道感染症(学童期に多い)

咽頭炎・扁桃炎

皮膚・軟部組織感染症

非侵襲性のもの:痂皮性膿痂疹、丹毒、蜂窩織炎
侵襲性のもの:壊死性筋膜炎、劇症型A群連鎖球菌感染症

続発症

溶連菌感染後糸球体腎炎、リウマチ熱、リウマチ性心疾患

 

A群β溶連菌感染の証明にASOをどう使うか

  • ASO は感度 80%,抗ストレプトキナーゼ抗体(ASK) を併用すれば感度 90%で溶連菌の感染を検出できる.2
  • ASO<200 単位ならば連鎖球菌感染の可能性は下がり,ASO≧400 単位ならば可能性が上がる.ASO≧800 単位であれば確定的である.
  • ペア血清による値の変化を確認することが望ましいとされる.

 

 

 

  • 抗ストレプトリジン O 抗体(ASO),抗ストレプトキナーゼ抗体(ASK),抗デオキシリボヌクレアーゼ-B 抗体(抗 DNAse-B 抗体)の 3 つが保険適用のある検査
    • ASO は感染から 2 週間後ほどして上昇し,数か月して低下してくるが 1 年後も高値継続することもある.また,C 群連鎖球菌や G 群連鎖球菌でも上昇しうるとされる.
    • 抗 DNAse-B 抗体のほうが ASO より診断特性が優れる.特に皮膚感染では ASO は上昇しにくいため抗 DNAse-B 抗体が有望視されるが,日本では試薬の調達が困難である.2
  • リウマチ熱に対して ASO は感度 80%.2 種類以上の抗体を用いれば感度 90%,3 種類で感度 95%とされる4
    • しかし小舞踏病発症,心炎で診断された場合などは感染から時間が経過しており,抗体検査でも連鎖球菌の感染歴を証明することが不可能なことがある.

ASOの経時変化

  • ASO は感染から 2 週間後ほどして上昇し,数か月して低下してくるが 1 年後も高値継続することもある.また,C 群連鎖球菌や G 群連鎖球菌でも上昇しうるとされる.

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参考文献

  1. 今日の臨床サポート
  2. ジェネラリストのための内科診断リファレンスエビデンスに基づく究極の診断学をめざして酒見 英太 (監)
  3. 病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症
  4. Jansen TL, Janssen M, van Riel PL. Grand rounds in rheumatology: acute rheumatic fever or post-streptococcal reactive arthritis: a clinical problem revisited. Br J Rheumatol. 1998 Mar;37(3):335-40. doi: 10.1093/rheumatology/37.3.335. PMID: 9566678

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