内科系 医学

小児の虫垂炎を見逃さないために

小児の腹痛で考えること

  • 小児の腹痛の原因で最多は便秘症である。成人は便秘症で腹痛を訴えることは少ないが,小児では便秘症による腹痛が多い
  •  次いで腸炎(ウイルス性,細菌性)が多いが,6歳未満では腸重積症,4歳以上では虫垂炎を鑑別疾患に加える
    • ちなみに乳幼児の虫垂炎は極端に少ない。5歳以下は小児虫垂炎の 5%以下で,学童期以降に多くなる
    • 男児:女児=2:1の比率で生じる
  • 左腹部が痛むときは便秘症,右腹部が痛むときは腸重積症や虫垂炎を思わせるが,例外も多いので過信してはいけない
  • 便秘症,腸炎,腸重積症,虫垂炎はいずれも腸蠕動音の亢進も減弱もある

 

 

成人の虫垂炎との違い

  • 成人に比して穿孔率が高い傾向にある
  • 理由としては、成人と違って自分で正確に症状を訴えることができないため診断が難しい,発症から穿孔までの期間が短い、などである.
    • その一方で症状が非典型的なため,早期に受診しているにもかかわらず見逃されて時間が経っているケースもある

 

診断を進めていく上で重要なこと

  • 腹痛の児を診る場合,少なくとも血液検査項目以外のAlvarado Scoreを必ずつける
  • 右下腹部痛や腹膜刺激症状を認める場合は,白血球数や好中球分画を評価するために必ず採血する

  • 4点以上の場合,虫垂炎の可能性を常に念頭に置きながら診療する
  • 7点以上であれば腹部CTは取りたいが、必ずしも CT の方がよく見えるとは限らない.狭い範囲の空間分解能は超音波に劣る
    • よって放射線被曝を考慮し、まずは超音波検査を行う
    • スリムな小児の右腸骨窩の腹腔の厚みなどときに 1~2cm ほどしかなく, CTで読影するのは必ずしも容易ではない(下図のように、CTで虫垂そのもの検出するのが難しいケースも・・・・)

 

 

小児の虫垂炎を見逃さないためのポイント

 

  • 早期に見逃されているほとんどが,「胃腸炎」か「便秘」と診断されてしまっている

初期診断に胃炎,腸炎を用いることはしない

②急性ウイルス性腸炎と診断するならば主症状である下痢を伴うときのみにする

便秘はあくまで慢性の病歴があるものに対してのみ診断し,急性腹痛に対する診断名には用いない(排便習慣の確立してない乳幼児は例外)

④X 線で便が充満してても大腸の拡張がなければ異常ではない

⑤単一の疾患名として診断できなかった腹痛は翌日再診とする

 

 

参考書籍

初期研修医・総合診療医のための 小児科ファーストタッチ 岡本 光宏 (著)

ブラッシュアップ急性腹症 第2版 窪田 忠夫 (著)

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