医学 基礎系

結合組織の病気〜組織と組織をつなぎ合わせるもの〜

結合組織とはなにか?

 

  • 結合組織は全身の組織と組織をつなぎ,人体を支える役割を担っている1
  • 脈管(血管やリンパ管)や神経の通り道
  • 微生物などの侵襲に対する生体防御の場
  • 大きくわけると、線維性結合組織や骨組織、軟骨組織、血液系に分けられる。
  • 単に「結合組織」というと「線維性結合組織」を指すことが多い

 

線維性結合組織に関係する代表的な病気

膠原病

  • 膠原病はリウマチ性疾患、結合組織疾患、自己免疫疾患の特徴が重なり合った疾患の総称と位置づけられている
    • リウマチ性疾患→関節炎などにより、関節・骨格・筋などに疼痛を生じる
    • 結合組織疾患→結合組織を中心に、炎症やフィブリノイド変性などの異常をきたす
    • 自己免疫疾患→自己の組織成分に対して免疫応答し、組織障害を起こす

  • 障害される臓器は疾患により異なるが,皮膚・粘膜,関節,筋,肺,腎が多い.長期にわたり慢性に経過する.
  • 類縁疾患も含め以下のものが広義の膠原病として扱われることが多い

 

マルファン症候群

  • 常染色体顕性遺伝(優性遺伝)で,人口15,000名に1名発症.
  • 25%は家族歴のない突然変異である.
  • 多くの例はフィブリリンⅠ遺伝子変異による→フィブリリンは弾性線維の構成成分である

骨格の異常

  • 高身長で指や手は細長く,クモに似ている(クモ指 )指が長いため以下のような所見がみられる

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心血管系の異常

  • 僧帽弁逸脱は幼児期から発生し,約 4 分の 1 の患者では重症化して僧帽弁閉鎖不全症に進展する3
  • 大動脈起始部や Valsalva 洞の拡張は特異的で,年齢にかかわらず生じる予後不良の徴候である。
    • 拡張が進展する速度は予測できないが,いずれ大動脈弁逆流,大動脈解離,動脈瘤破裂につながる。拡張は身体的,精神的ストレスや妊娠によって加速すると考えられている。
  • 動脈瘤の位置にはある程度ばらつきがあり,また一般人口における大動脈瘤の発生率が高い(100 人に 1人)

眼球の特徴

  • 水晶体の上方への偏位は一般的である。通常,偏位は進行性ではないが,白内障の発症に影響すると考えられている。眼球は引きのばされて大半の患者は近視になるが,視力は保たれる。
  • 網膜剥離が起こることもある。

 

Ehlers-Danlos症候群

  • Ehlers-Danlos 症候群は,皮膚,関節,その他の組織における症状の程度,遺伝形式,分子解析と生化学分析にもとづいて数種類の病型に分類されている3
  • さまざまな病型の Ehlers-Danlos 症候群でコラーゲンの構造遺伝子に変異が認められる

  • 古典型には重症型の I 型と軽症型の II 型があり,ともに関節の過可動性およびなめらかなきめの細かい皮膚の過伸展性と瘢痕のできやすさが特徴である。

 

発生率

  • Ehlers-Danlos 症候群の発生率はほぼ 5,000 出生に 1 人であるが,黒人ではより高率である。
  • 古典型(I 型,II 型)と関節過可動型(III 型)が最も多く,軽度である場合は医療機関を受診しないことも多い。

皮膚・靭帯・関節症状

  • 皮膚症状の程度はさまざまで,薄くなめらかな皮膚から,異常な伸展性のある皮膚(「ゴム人間」症候群 “rubber person” syndrome)や容易に裂開したり瘢痕のできやすい皮膚まである。
  • I 型患者の皮膚は,特徴的ないわゆる「シガレットペーパー」瘢痕 “cigarette-paper” scar に進展する。
    IV 型では骨の突出部に広範囲の瘢痕と過剰な色素沈着がみられ,また皮膚が薄いため皮下の血管が透けてみえる。
  • 関節の弛緩性と過可動性には幅があり,軽度なものから,股関節などの大関節で還納不能な脱臼を起こすものまである。
  • 軽度な患者は,身体活動を制限して脱臼を避けることを覚えるようになる。
  • 重度の場合には外科的再建が必要となる。加齢とともに障害が進行する患者もみられる。
    • 靭帯が縫合に耐える強度をもたないことがあるため,関節靭帯の外科的再建にあたっては個々の患者に対して注意深い評価が要求される
    • Ⅳ型患者とその家族は動脈瘤の早期発見のために定期的に検査を受けるべきであるが,組織が脆弱なため動脈瘤の外科的修復は困難であるかもしれない。
    • Ⅳ型女性患者は,妊娠時の子宮破裂や出血などの合併症のリスクが高い

参考文献

  1. 病気がみえる vol.14 皮膚科
  2. Elseviers Integrated Review Genetics by Adkison PhD, Linda R
  3. ハリソン内科学 第5版 福井 次矢 黒川 清 (日本語版監修)

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