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頚部リンパ節腫脹に行う検査

はじめに

あらママ
全身に約800個あるリンパ節のうち、頚部には約300個存在するといわれています。頚部リンパ節腫脹に行う検査として、ファイバースコープや画像検査、FNA、生検が主にあります。それぞれについて解説していきますね

頭頚リンパ節の診察ポイントについてもご参照ください。

 

鼻咽喉頭ビデオファイバースコープ

  • ビデオスコープは拡大画像やNBI (Narrow Band Imaging)などの強調画像が得られ、動画保存ができる1
  • 上、中、下咽頭と鼻腔、喉頭を隈なく観察して、管腔臓器に原発巣があれば生検を行う.
  • 経鼻観察を行うだけでなく経口腔観察も行う (経鼻的には口蓋扁桃が死角になり、原発巣が小さいp16陽性中咽頭癌を見逃す恐れがあるため)。
  • 下咽頭輪状軟骨後部や梨状陥凹~頚部食道入口部の観察のため、座位や頸部捻転位での診察に加えて、呼気で息こらえをするValsalva法を併用した Modified Killian法2 (臍を見るように頸部を前屈させる。そしてさらに回旋させる)での観察も行う。
  • 上記方法で原発巣が確定できれば生検へと進む。

 

画像診断

リンパ節疾患に対する画像診断法として,CTやMRI,PET,超音波診断等などが利用されている。

正常リンパ節

  • 一般に画像上、正常なリンパ節は周囲との境界明瞭で扁平な楕円体の形態を呈し、リンパ門が認められる場合が多い。
    • リンパ門は結合組織や脂肪、血管を含み、超音波診断やCT、MRI いずれも周囲の脂肪組織と連続性のある脂肪様あるいは結合組織様の構造として描出され、血流が確認される場合が多い
  • リンパ門以外の実質部分は、超音波像では比較的均一な低エコーとして描出される。
  • また造影 CTや造影MRIでは筋と同程度からやや強い程度に造影され、T2強調MRIでは比較的高信号を呈する。

 

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リンパ節の病的腫大とは?

  • 一般に画像上、短径(リンパ節を楕円体に模した場合の三軸径のうち最短のもの)10mm以上のリンパ節は、病的腫大像と判断されている。
  • 炎症性腫脹では、リンパ門や本来の形態を残しつつ腫大する場合が多い。
  • 口腔癌の転移を含めた腫瘍性の腫脹では、リンパ門が不明瞭化し全体の形態が球体に近くなる場合が多い。
    • とくに内部が不均一化し、周囲との境界が不明瞭となった場合には、転移リンパ節の可能性が高いとされている
  • しかし、壊死性リンパ節炎や結核性リンパ節炎でも転移リンパ節に似た所見を呈する場合がある点には注意が必要である。

 

穿刺吸引細胞診(FNA)

  • 唾液腺や甲状腺腫瘤で頻繁に行われるFNAは、リンパ節では原発不明で画像診断で悪性が疑われる場合良性でも生検を回避したい場合、あるいは生検前の補助診断として実施している。
  • 腫瘤が深い場合や小さい場合はUSガイド下に行う。
    • 角化が少なく核小体に異型がある扁平細胞があれば癌の転移を考慮
    • 大型リンパ球細胞が多数みられてクロナリティが示唆されれば悪性リンパ腫の可能性を考える。
    • リンパ球が大小不同で好中球も認めれば炎症性疾患の可能性が高く、背景の壊死物は結核や癌のリンパ節転移で認める。
    • 核内封入体は甲状腺疾患でみられる頻度が高い。ただし裏胞性リンパ節転移ではFNAの偽陰性化率が高いため、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)関連中咽頭癌が多い昨今では、穿刺液でのHPV DNAの存在をチェックする方法もある。

 

生検

どいういった場合に生検を行うか

  • 頭頚部に原発巣がなく、病理診断が治療方針の決定に影響する場合
  • 悪性が否定できない場合

適応疾患

  • リンパ増殖性疾患(悪性リンパ腫が多い)
    • 悪性リンパ腫では3cm程度のリンパ節1個丸ごと摘出して、検体を3~4分割し、病理検査や染色体検査を行う。
    • 必要であれば遺伝子検査も併用することがあるので、可能であれば検体の凍結保存を行う。
    • 血液内科医と連携をとる
  • 胸腹部癌の鎖骨上リンパ節転移
  • 結核
  • サルコイドーシス
  • 組織球性壊死性リンパ節炎

など。

※悪性疾患が疑われる場合に安易な生検をすると、生検した部位から腫瘍が広がる可能性があるため、適応は慎重に選ぶ。

 

参考文献

  1. 「頸部リンパ節病変の診断と対応」中溝宗永・稲井俊太  日本口腔外科学会雑誌 第70巻 第2号 2024年
  2. Sakai A, Okami K, Sugimoto R, Ebisumoto K, Yamamoto H, Maki D, Saito K, Iida M. A new technique to expose the hypopharyngeal space: The modified Killian's method. Auris Nasus Larynx. 2014 Apr;41(2):207-10. doi: 10.1016/j.anl.2013.10.012. Epub 2013 Oct 30. PMID: 24183396.
  3. CT読影レポート、この画像どう書く? 解剖・所見の基礎知識と、よくみる疾患のレポート記載例 小黒 草太 (著)

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