内科系 医学 感染症

肺梗塞 〜抗菌薬で治らない「肺炎疑い」は肺梗塞を疑おう〜

肺梗塞と肺血栓塞栓症との関係

  • 肺梗塞症は、急性肺血栓塞栓症の約 10~15%に合併する.1
  • 肺動脈分枝閉塞が生じても,実際にはその支配領域の組織が壊死に陥ることは少ない.肺は肺動脈と気管支動脈の二重支配を受けているからである.気管支動脈血流との吻合が乏しい場合に限り乏血性梗塞(白色梗塞)を生じる.
  • 肺梗塞の多くは,むしろ出血性梗塞(赤色梗塞)を呈する(下写真)2
    • その機序としては,肺動脈血流が低下すると肺静脈内に血栓が多発し,高圧系の気管支動脈血流は肺静脈に流出し難くなるため周囲の肺胞内に直接流入し,出血を生じるとされる.
    • 血液が肺胞に充満して、浸潤影になる。そして中心壊死により炎症を合併し、肺炎と似た像を呈する。

 

症状

  • 組織壊死を反映して胸膜性胸痛血痰発熱などの症状を呈する.

 

 

肺梗塞を疑う画像所見 〜肺炎にみえてしまうことも〜

  • 一見、肺炎と思わせるような浸潤影を呈する。
  • 以下の「Hampton's hump」や「Central lucencies」、「Feeding vessel sign」は肺梗塞の可能性を高める所見である

Hampton's hump

 

  • 肺梗塞に至った場合にみられる浸潤影で、肋横角部に好発する。肺門部に向かってやや凸(wedge-shaped)であることが胸水貯留や胸膜肥厚との鑑別点となる3 4
  • Aubrey Otis Hamptonはアメリカの放射線科医,1900-1955

 

  • CTにおけるくさび状の陰影もHampton's humpという? 4

 

Central lucencies

  • central lucenciesとは、浸潤影の中に丸い低吸収域のこと5
  • 縦隔条件でみやすい
  • 梗塞が起こった二次小葉の中で生き延びている肺組織を示している or 拘束部の空洞影を意味する

6

 

Feeding vessel sign

  • 楔形の陰影の頂点部に拡張した血管があること5
  • 血管が直接、肺結節の中心に入り込んでいる所見である(↓画像の右上肺野陰影からニョキっと出てる血管)
  • 結節の原因が血管病変と関連があることを意味する。
  • 肺梗塞特異的というわけでなく、転移性肺腫瘍や肺動脈瘤、肺動静脈奇形、敗血症性肺梗塞、多発血管炎性肉芽腫症などで見られる

 

肺梗塞を見逃さないためには?

  • DVTや肺塞栓リスクがある患者で、必ず鑑別に上げる
  • 胸部エックス線やCTで、肺梗塞に特徴的な所見を探す

 

 

まとめ

  • DVTや肺梗塞リスクのある患者で、抗菌薬に反応しない「肺炎疑い」を見つけたら、肺梗塞を鑑別にあげる
  • 「Hampton's hump」「Central lucencies」「vessel sign」がないかチェックする

 

参考文献

  1. 南山堂医学大辞典
  2. ロビンス基礎病理学 原書10版
  3. https://www.teramoto.or.jp/teramoto_hp/kousin/sinryou/gazoushindan/case/case157/index.html
  4. https://radiopaedia.org/articles/pulmonary-infarction-1?lang=us
  5. 臨床推論の落とし穴 ミミッカーを探せ!長野 広之 (著) 志水 太郎 (監修)
  6. https://is.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/010010017j.pdf

-内科系, 医学, 感染症
-, , , ,