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百日咳〜子どもだけの病気ではない〜

百日咳って?

  • 百日咳菌(Bordetella pertussis)が飛沫感染により気管支粘膜上皮細胞に定着し、百日咳毒素を産生することによる急性気道感染症である
  • 2〜5歳に好発するが、成人の症例も多い
    • 百日咳抗体(IgA)は胎盤を通過しないため、新生児・乳児でも罹患する危険性がある
    • 特にワクチン接種していない乳幼児では長い期間、強い咳で苦しむことも!
  • 潜伏期間は7~10日、カタル期(風邪症状)は2週間、痙咳期は2~3週間、回復期2~3週間、合計60〜90日である1
  • 潜伏期とカタル期には百日咳と気づけない(周囲に百日咳の流行が確認できれば、カタル期でも診断できることもある)

 

百日咳の症状〜発作性咳嗽が多い〜

  • 小児・成人ともに発作性咳嗽の頻度が高い2
  • 国家試験的に有名な吸気性笛音(whoop)の頻度はそれほど高くない
  • 基本的には発熱はなく、あっても微熱である

 

 

乳幼児の百日咳

  • 乳幼児の場合、息をつぐ間もなく連続的に咳き込む1
  • 咳の間、息を吸えないので、顔が紅潮し、最終的には黒くなる。
  • 咳が終わると、笛が鳴るような息(ヒューという音:whoop)を吸う
  • 4種混合ワクチンを接種していない乳幼児では要注意!!

 

以下、乳幼児の百日咳の典型的なwhoopである3(音が出ますのでご注意ください)

 

学童期以降の百日咳

  • 乳幼児と異なり特徴的な咳嗽は目立たない1
  • 4種混合ワクチンの効果は3〜5年で減弱し、12年で消失するため、予防接種を受けていても百日咳は罹患する
  • 「夜中に咳き込んで起きる。起きた回数を覚えている」という訴えがあれば百日咳を考慮する

 

百日咳の検査

 

採血

  • 小児ではリンパ球優位の白血球増多が高頻度に見られるが,成人では稀である2
    • 小児ではカタル期の終わり頃には白血球数は 20,000-45,000/μL,リンパ球≧75%となる。
    • CRPや赤沈は低値に留まることが多い。

臨床診断例にはどんな検査をする?

  • 臨床診断例が検査をする基準となる(下図 百日咳の診断基準)
  • 百日咳の検査法としては、PT-IgG抗体検査やLAMP法、百日咳菌に対するIgM抗体とIgA抗体を測定する血清学的検査がある。
    • ただし、いずれの検査も、検査室を持たない医療機関では当日に結果を得ることが難しいという課題があった4
  • 2021年6月から迅速検査キット「リボテスト® 百日咳5」が使用可能となった(PCR法と比較して感度85%以上、特異度95%以上)4
    • 検体は鼻咽頭ぬぐい液で、採取方法はインフルエンザ迅速検査と同じ
    • 培養、PCR、LAMP法に比べて簡便で迅速に結果を得られる。
    • ただし抗原検査で陰性でも、百日咳を否定できない。また、診断は、本キットの検査結果のみで行わず、他の検査結果や臨床症
      状等を考慮して、総合的に判断する5
    • 臨床診断例に対し、培養、PCR、LAMP法、そしてリボテスト® 百日咳のいずれかを使って検査し陰性の結果が出た場合は、血清を用いた抗体検査を実施しなければ、百日咳を否定できない(下図 百日咳確定のための検査フローチャート)。
  • 確定診断が得られれば、7日以内に最寄りの保健所に届け出が必須。

 

 

 

百日咳の治療はアジスロマイシンを

  • ジスロマック錠250mg 初回 2錠 分1、以後2~5日目は1錠 分1 計5日間 (肺炎では適用外)6
    • ただし日本の保険用量は 1回2錠 1日1回 計3日間であり、これで治療する場合もある。

抗菌薬はあくまで感染拡大を防止する意義しかなく、罹患期間を減らさないので注意。

  • 痙咳期の症状は百日咳毒素によるものであるため、抗菌薬によって毒素が消失するわけではない

 

参考文献

  1. 初期研修医・総合診療医のための小児科ファーストタッチ 岡本 光宏 (著)
  2. ジェネラリストのための内科診断リファレンス エビデンスに基づく究極の診断学をめざして 酒見 英太 (監)
  3. Infant girl with whooping cough
  4. 百日咳の迅速検査キットが登場!どう使う?
  5. 極東製薬工業株式会社ホームページ
  6. 今日の臨床サポート 百日咳

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